ハワイ・ゴルフ紀行
ハワイ         10


第7日


アメリカン・ブレックファースト
 「アロハサーフ・ホテル」の朝食は、ロールパンとコーヒーに、オレンジとバナナのカットが並べられているアメリカン・ブレックファーストである。キンカメの朝食バイキングに比べると、かなり見劣りがする。お二人から「何これ。これって人間が食べるもの?」ぐらいの叱責をいただくかと、章くんは覚悟していたのだが、まだ薄暗い午前6時30分、エレベーターから降りてきた二人は、この朝食を前にしても「これ、持っていくのね」と意外にも機嫌が良い。ホノルルの朝
 このホテルの朝食は,6時30分から…。今日はオアフ島の北端にあるタートル・ペイGCで8時20分スタートの章くんたちは、1時間30分ほどかかるという計算で、少し余裕を見て6時30分にホテルを出発することにした。そこで、各人パン2個とオレンジ、バナナを取り、紙コップに入れたコーヒーを持って、車の中で食べようという算段である。
 総じてハワイの朝は早い。遊びに来ている人が多いから、しっかりと遊ぶためには、朝早くから行動するのである。
 また、欧米の人たちは自制心が強いというのか、求道的生活の実践者が多いというのか、とにかく早朝にジョギングしている人が多い。Tシャッ短パンにヘァバンドをした若い女の子から、上半身裸のおじいさんまで、皆んな汗びっしょりになって走っている。マウイ島マップ

 章くんたちは、昨日走ってきたH1を昨日と逆のウエストに走り、H2へ乗り継いで99号から83号と内陸部を縦貫し、オアフ島の南海岸にあるワイキキから北端ノースショアのタートルベイ・リゾートまで、約1時間30分で到達する予定である。
 ところが、ホノルル市内でのH1への乗り口を見逃して迷走…。当てずっぽうに右…左…と曲がったものだから自分の位置が判らなくなってしまって30分ほどをロスしてしまい、やっとH1に乗ったのは7時になろうかというころであった。
 「今日も遅刻かぁ」と車を走らせたところ、その後の道は分かりやすくて、8時過ぎに到着。何とか、遅刻は免れた。


タートル・ペイ  http://jp.turtlebayresort.com/golf.htm

タートルベイ 入り口
 35平方キロメートルもの広大な敷地に広がる「タートルベイ・リゾート」は、シーズンには伝説の大波が押し寄せるサーフィン・スポットが連なるリゾートエリアだ。およそ8kmにも及ぶ風光明媚な海岸線、延べ19kmの海岸沿いのトレッキング・トレイルなど、古き良きハワイの自然美がリゾートの目の前に広がっているし、またリゾート近辺には、ハワイ王朝の歴史を彷彿とさせる史跡なども数多く点在している。このリゾートのコテージに滞在して、ゴルフ、マリンスポーツ、トレッキングなと、ゆったりとしたハワイの時間を過ごす人も多い。
 タートルベイ・ゴルフコースには、シニアPGAツアーやLPGAツアーの大会が開催されるアーノルド・パーマー設計の「パーマーコース」と、ジョージ・ファジオ設計による「ファジオコース」がある。タートルベイのクラブハウス前で
 パーマーコースでは、章くんたちが訪れたこの日から1週間前の1月28日−30日には、米国シニアチャンピオンズツアー第2戦「タートルベイ選手権」が開催され、ヘイル・アーウィンが前人未到の5連覇を達成している。また、章くんたちが帰った翌週、2月24日〜26日には米国女子ツアー開幕戦「SBSオープンatタートルベイ」が行われ、話題の16歳アマ、ミッシェル・ウイが2位に入る大健闘を見せた。初日21位タイと順調な滑り出しを見せた東尾理子は、翌日78を叩く大乱調で、2日間通算5オーバー。1打足らず、76位タイで予選落ち。理子ちゃん、まだまだ修行が足らん。


パーマー・コース パーマーコース 1番
 8時30分、料金の払い込み、バッグの積み込みも完了して、パーマーコース1番へと向かう。
 この1番が遠い。クラブハウスからカートで走ること約5分…。スタート係りの坊やは「ティグラウンドまで7分ほどかかります」と余裕をみて説明してくれていたから、道が違ったかなどと心配することはなくて、海が見え隠れする木立の間を疾走する快適なドライブであった。
 1番は、ゆるやかな右ドッグレッグの340Yパー4 →
右曲がりは左へ打てのセオリーどおり、左目に打った章くんのティショットは左へ行き過ぎて、バンカー前のラフ。すぐ前の木がスタイミーだったが、残り120Yをピッチングのファインショットで木の上を越えてナイスオン。ところが3パットしてボギー。
 2(338Yパー4)・3(452Yパー5)・4(181Yパー3)番とパーで通過して、5番381Yパー4のセカンド7番アイアンをピン横20cmにつけてバーディを取り、イーブンに戻した。
 章くん、今までの海外遠征では、70台を出したことがない。今日のラウンドは、何んか調子が良くってチャンスである。この好調には、訳がある。実はこの日、章くんはレギュラーティから打っているのだ。
 これまでの海外ゴルフでは、いつもバックティを使用してきた。1992年のカリフォルニアへ出かけた遠征以来、「良いスコア出しても、フロントからでは値打ちがないから」と言って、いつもバックティからラウンドしてきた。ほとんどのミドルでセカンドにウッドクラブを持たなくてはならなかった「ラ・プリシマGC」の距離に驚き、ロングアイアンで打ち出すなどということは不可能であった「バリー・バニオン」のヘビーラフに苦しみながらも、バックティからドライバーを振り回してきたのである。
 このハワイでも、ここまでの4ラウンドはバックから回ってきたのだが、5ラウンド目にして日本を出発前に痛めた腰が重い。そこで「今日は前から」と言ってレギュラーから回ったのだが、これが楽ちん…。例えば1番はフルバック(黒)は412Y、バック(青)は385Y、レギュラー(黄)340Y、フロント(白)320Y、レディス(赤)240Yと5つのティマークがあるのだが、レギュラー(黄)340Yから打った章くんのセカンドの残りは1スナックカーが居るでしょう20Y…、ショートアイアンでピンが狙える。
 6番(367Yパー4)をパー、7番(337Yパー4)でまたバーディが来て、この時点で1アンダー。8番(142Yパー3)をパーで、海外初のハーフのアンダーパーかと思ったとたん、9番(478Yパー5)でダボ…。詰めが甘いが、このアウト37!


← 大きな木の下で店を開いている
 スナックカーで、ホットドッグと
 コーラを買った。





海外初の70台成るか!バンカーだらけの17番
 インを6オーバーの42で回れば、70台が実現する。10番(339Yパー4)をパ−で通過するも、11(396Yパー4)・12(442Yパー5)番で連続ボギー。雲行きが怪しくなってきた。
 13(175Yパー3)・14(364Yパー4)番をパーと持ち直したものの、15番(149Yパー3)でグリーンを外してボギー。16番(396Yパー3)をパーとするものの、17番(375Yパー4)でまたまたボギー。ここまで、4オーバーである。
パーマーコース 18番 18番(506Yパー5)。念願の70台に向かって打った章くんのドライバーショットは、フェアウエイ右の250Y地点へ転がった。ここからのセカンドショットが難しい。
 グリーンまで残りは250Y…、この章くんのボールから100〜130Yのところにバンカーがフェアウエイの中央に横たわっている。しかもバンカーの向こうのフェアウエイは、左も右も池である。とにかくセカンドショットは、バンカーを越えて、左右の池の間のフェアウエイへ落とさなければならないのだ。
 章くん、4番アイアンを持って、右の水際を狙いフックを打った。少しダフって引っ掛け気味であったが170Yほど飛んで、残り80Yほどのフェアウエイ左サイドに止まった。
 サードショットはサンドウエッジのフルショット。今日の章くんは、ショートアイアンではグリーンを外さない。3オン2パツトのパーで、インは40。かくしてトータル77!。章くんは、海外遠征14年目にして初の70台を実現したのである。

タートルベイ

   パーマーコース 18番横の海岸にて →


    ハワイのノースショアは
     世界最大級のビッグウエーブが
     押し寄せるところで、サーフィンの
     世界大会が行われる。



ファジオ・コース
 クラブハウスへ引き上げてきたのが、12時40分。コーヒーにサンドイッチをつまんで、1時20分、ファジオ・コースへ出発である。前を1人でプレーしている男の人がいたが、やがて見えなくなって、それから後は貸しきり状態のプレーであった。
 章くん、アウトの1〜5番をパープレィ。またまた70台かと思われたのだが、6〜9番は全てボギーで、ハーフ40。イン…10番の464Yパー5でボギーとしてズルズルと後退。6ボギーを叩いて42。トータル82であった。
 このラウンドの後半、章くんは、突然、鼻が詰まり目からは涙がこぼれてならなかった。17番のティグラウンド横にあった水飲み場で顔を洗い、一息ついたのだが、これって花粉症の症状じゃないのか。花粉症の人は海外へ出ると治るとは聞いたけれど、海外へ行って花粉症になるなんて、章くんぐらいのものだろう。しかし、クラブハウスへ引き上げてきて、スリッパタイプのゴルフシューズ(フットジョイ社製だよ)を買うかどうかと悩んでいるときには、症状は治まっていた。
 帰りは、東海岸沿いの83号線を走って帰還。昼間ならば美しい海岸線が続くという海沿いの道だが、タートルベイを出てから程なく日は暮れて、せっかくの大海原も闇の中であった。


ロブスター&クラブ
 ホテルへ帰ったのが7時過ぎ。シャワーに入り、着替えてから夕食に繰り出したのが8時になろうとしている頃であった。
 遅くなってしまった夕食をどこで取るかのあてもなく、とにかく繁華街へと繰り出した章くんたちだったが、シェラトン横の大きな看板をみて、「ロブスター&クラブ」の店に入ってみた。ロイヤル・ハワイ・ショッピングセンターの2階にあるこの店、観光客でそこそこ賑わっている。滋子さんはシーフード、ヤスヱはステーキを、章くんはロブスターと別にパンを頼んだ。
 ここでもロブスターは蒸し上げてあるだけのもので、マヨネーズなどをつけて食べる大雑把なものであった。食事が進んで終盤に差し掛かっても、章くんが頼んだパンが出てこない。3度ほど、ウエイターに「パンが出ていない」と催促したのだが、「はい、はい」と言うだけで、一向に持ってくる気配がない。もう、食事も終わろうかという頃になってきたので、章くん、「3度ほど確認したのに出てこないじゃないか」と、ちょっと偉いさんのような黒い服の男の人を呼んで言うと、さらに偉いさんのような赤い服を着た人が来て、たどたどしい日本語で「今日のパンは、もうありません。全て売れました」と言う。
 そこで、ステーキをたらふく食べて闘争心が溢れているヤスヱが、一発お見舞い…。「あなたねぇ。注文したのを受けておいて、しかも何度も催促したのに、今さらないってどういうこと。この人は、パンを食べにここへ来ているのよ!」。章くん、『オレは、確かにパンを食べたいのだけれど、別にパンを食べに来ているわけじゃないんだが』と思いながら、「そうだ、そうだ」とか言って囃し立てている。困った顔の偉いさんは「ワカリマシタ」とどこかへ行き、「サンドイッチ用の高級パンです」と言って、薄切りの食パンのようなものを皿に盛って来た。余計なことを言わなきゃいいのにと章くんが思っていると、案の定、この偉いさん、「高級はいらないのよ。普通のパンはないの」とまたヤスヱに怒られていた。



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その8