第12日 その1 23日(木)
バンコクGC
午前6時起床。シャワーのあと荷物をまとめて、6時40分、少し早い目にフロントへ降りた。今夜の便で帰国するから、チェックアウトを頼むためだ。電話、冷蔵庫分など450Btを清算してOK。
午前7時、吉川さんを乗せたタクシーが入ってきた
。「おはようございます。お世話を掛けます」と、章くんが乗り込む。いつものキャディバッグに加えて、キャリングバッグを持っているから荷物が多い。ゴルフ場のロッカーへ放り込んでおいて、プレーするつもりだ。
ゴルフ場に到着、プロショップ内にある受付でプレーフィとカート代を支払う。「クーポンもいかがですか」と言われて、貰うものは何でも貰えと、200Bt分のクーポン(コース内のレストラン・ショップ・茶店などで使える。もちろんクーポンを買わずに、現金で支払ってもよい)を含めて、ちょうど2000Btを支払った。吉川さんの後輩が働いているとのことで、ゲスト料金でプレーさせてくれるよう手配してもらってあるのだ。
ロッカー室の窓口でサインしてキーを貰う。大きな荷物を抱えている章くんのために、吉川さん、2つのロッカーを借りてくれた。
レストランで「おかゆ」を食べ、コーヒーを飲んでいたら、今日のもう一人のパートナー小川
さんがみえた。
小川さんは、タイ在住19年の会計士さん。日本企業を対象として、会計全般をコンサルティングしている。「タイと日本では会計形体が違いますし、その実務のほか、法体系とか商慣習の相違などもアドバイスします」と言ってみえた。進出する日本の企業としても、タイの実情に詳しいアドバイザーは欲しいところだろう。
出動を待つカート →
今日はゴールドのひとつ前のブルーマークから。6337Y、レートは70.8とちょっと短めだ。
1番332Y、ティグラウンドのすぐ前は池だけれど、それを越えればだだっ広いフェアウエイが広がっている。右ドッグレッグだから、右へ打つほどグリーンは近くなるが、右側はずっとクリークが続いている。
章くん、まん中へナイスショット。「ケンチャンラ〜イ(タイ語でナイスショット)」と声がかかるが、2打目、残り100Yが乗らず、アプローチが寄らずのボギースタートだ。
← 1番332Yパー4
【拡大】
コース内には
たくさんの鳥がいる ↓
2番175Yパー3、左隣コースのバンカーまで曲げてしまい、そこから奇跡的なグリーンオンを果たすも、3バットしてダボ。3・4・5番とボギーにして、キャディの「MOOKちゃん」(モーかと聞いたら、そうだと言ったから、女性を呼ぶのにはちょっとはばかられるけれど、「モーちゃん」と呼ばせてもらおう)に、章くん、『ミスター・ボギー』と言われてしまった。
← 右が章くんのキャディのモーちゃん
年齢も不詳。章くんは50才ぐらいかとも思うのだ
けれど、タイにはそんな歳のキャディはいないという
説もあって、30代なかばという人もいた。
いちおう、モーさんといわず、モーちゃんと呼ばせ
てもらおう。
左は、吉川さんのキャディさん。よく肥えているか
ら、よく笑う。
コース内には 花がいっぱい 【拡大】→
← 茶店も
花でおおわれている。
池のほとりにたたずむ 大きな鳥 →
背の高さは、1.5mほどあった。
9番ホールで、吉川さんが「ボール、貸して下さい」と言ってきた。「その鳥を避けたら、4個、右の池へ打ち込んだ」と言う。どこまでも優しい、吉川さんである。
その9番ホール、前の組がパターしている横で、グリーンキーパーのおじさん(?)が、芝刈り機をウィ〜ンといわせながらグリーンを刈っている。
前の組のパッティングが終わり、グリーンが空いた。芝を刈っているおじさん、横へ退いて、章くんたちのショットを見ている。全員がオンさせて上がってくると、おじさんまたグリー
ンを刈り始めた。、
「自分の身に危険がなければ、ほかの事は配慮しないんです」と、小川さんがタイ人気質を分析する。
章くん、周囲の騒音はトンと気にならない。3オン2パットのパー。
← みんなグリーンに上がってきても、悠々とグリーンを刈るおじさん。章くんのボールも刈られるところだった。
ミスターボギーはこのハーフ、5ボギー1ダボで43。
インへ入って、
大事件発生。12番368Yパー4のティショットで、「OK」の声がかかって打った章くんのボールが、歩き出した前の組のご婦人方の足元を抜けて行き、グリーン手前50Yほどのところまで転がってしまったのだ。
グリーンを終えるのを待って、ご婦人方がどこの国の方々か判らない章くん、「アイムソーリー、ドゥブゥシィエ、エンシュルディゲンズィービッテ、パルドン、ロシエント…、すみません」と、知っている限りの言語で謝罪を並べた。
「いいんですよ、キャディさんが
打てとか言ったんでしょ」と、寛大な日本語が返ってきた。モーちゃんが日本語が解らないのをいいことに、「ええ、打ってもいいと言うものですから…」と章くん、卑怯な言い訳を繰り返す。「この国のキャディさんは、いい加減ですから…」と言っていただいたご婦人の言葉に、モーちゃんに悪者になってもらって、一件を切り抜けた。
← 章くん、前の美人ぞろいのご婦人の組へ
打ち込んでしまった。
13番549Yパー5、
またまた大事件発生。第3打、130ヤードを打った章くんの
ショットはナイスオン。打ち終わった9番アイアンを、うしろでショットを見ていたモーちゃんに渡そうとしたら、ヘッドがモーちゃんの脛を直撃してしまったのだ。
いわゆる弁慶の泣きどころ…、モーちゃんの脛は腫れて来た。「ダイジョウブ」と言いながら、足を引き摺っている。それでもグリーンを読んでくれ、カートに居ていいと言うのに、クラブを運んでくれた。
17番540Yパー5
2オン3パットのパー →
健気なモーちゃんのためにも頑張らなくてはいけないインだったのに、ショックの続いた章くん、アウトと全く同じの5ボギー1ダボで43、トータル「86」でタイのゴルフを終了した。
モーちゃんにキャディチップ300Btと脛のお見舞い200Btを渡し、シャワーへ入って食事を取った。
ここも日本食堂があって、冷奴、寿司、鉄火丼などのメニューが揃っている。日本食となれば、やっぱりマグロの刺
身だ。小川さんに「タイのマグロはインド洋産のメバチマグロです」とレクチュアーいただくが、日本のマグロも最近は世界各地の海で揚ったものが混在していて、NO冷凍の近海ものなんて、滅多にお目にかかれない。
← 右上から時計回りに、マグロの刺身、焼きそば、フィレカツ、チキンの照り焼き。そのほか、冷奴、エビの塩焼き…などと、ビール4本、コーラ2本で900Bt。3人分だよ。
「カンチャナブリーのほうにいい温泉があるんです。今度、一緒にどうですか」と小川さんが誘ってくれた。断ることを知らない章くん、「日が決まったら、それに合わせて、またタイへ来ますよ」。
帰りのタクシーの中で吉川さんが、「小川さんと、今日が初対面ですよね。何で温泉旅行に誘うんですかね。そういえば、先日も初対面の大山さんといろいろ話をしてみえましたね。大山さんは人に厳しいタイプで、僕なんか初対面のときは一緒にゴルフしても、2ラウンドまでは一言も喋ってもらえなかったです」と笑う。
そこが、章くんの野良猫たるゆえんなのだろう。好奇心旺盛で、何にでも首を突っ込むからどんな話でもできて、そこそこ面白いし、どこでも誰とでもフレンドリーである。でも、気に入らない相手には、すぐに喧嘩腰になる。
「お帰りは何時の飛行機ですか?」、吉川さんは章くんのフライトまで付き合ってくれるつもりなのだ。世の中には、ホントにいい人がいるものである。
章くん、荷物をバンコク空港の荷物預かり所に預けて、フライトの午前0時30分まで自由の身である。吉川さんのアパートメントへ荷物を置きに行き、さて…。時間は午後5時。
「クラブへ繰り出すにはちょっと早すぎますから、今度タイへ来られて滞在するときのために、アパートメントの見学に行きますか」と吉川さんが提案してくれた。何にでも興味深々の章くん、「是非…」っとせがむ。
まず第1番目は、BTSサラディーン駅の近くの「The Sunrise(サンライズ)」。「ちょっと見せてね」と吉川さんは気軽だ。ここはベッド・机・クローゼット・キッチン(冷蔵庫・電子レンジ完備)、それにバス・トイレがついている。共用部に、レストラン、プールなどが付属していて、1日1,500Bt(4,500円)。長期間ならば、当
然、割引がある。説明してくれる女の子が、とても愛想がよくて熱心だ。
2番目はその近くの「Center Point(センターポイント)」。最高級のマンションで、1ルームのスタジオ・タイプから2ルーム1ベッド、家族連れ用の3ルーム2ベッド・タイプの部屋までがある。短期貸しはなくて、1ヶ月48,000〜105,000Bt(144,000〜315,000円)。プール、ジムがあって、24時間、ガードマンが警備している。
これらの他、バンコクには世界を旅して歩く若者たちが利用する安宿がある。1日あたり120Bt(トイレ・シャワー共用)〜300Bt(水シャワー)〜600Bt(温水シャワー)といったところ。章くん、このあたりに泊るのはちょっと無理かなと思うけれど、今回の旅のスイート・ホテル(1600Bt)ほどのものは要らない。旅の面白さを堪能するために、これからもいろいろと体験したいものだと思う。
そうこうしている間に午後6時30分…。ハッポン・タニヤはここから目と鼻の先なのだが、吉川さん、「今はもうハッポン・タニヤは観光地ズレてしまって、掘り出し物はありません。ちょっと足を伸ばして、まだ純真さの残る、穴場へ行ってみましょうか?」。いいの、吉川さん… そんな秘密の場所を教えても…。
章くんたちは、地下鉄に乗って目的地へ向かった。とある駅で下車…、何という駅だったか、タイ語の駅名は覚えられない(ホントはメモしてきているのだけれど、吉川さんの秘密の場所だから、教えるわけにはいかない。章くんは、口が堅い)。
歩くこと10分、「ここなんですが…」と案内してくれたクラブは、玄関からロビーなど全部取り壊して工事中。「あれ、潰れたのかなぁ。看板も出てないものね」と吉川さん、真顔で言う。
日暮れてすっかり暗くなったこの時刻に、確かにネオンもアンドンもなくて、表は工事のおじさんたちが、暗い中でコンクリートをこねたり、石を据えたりしている。『MOMO』と書かれた店の大きな看板は、取り外されて軒下に立て掛けられている。
『まぁとにかく中へ入ってみましょう』と、工事中のおじさんたちの間を入っていくと、壁をはがした部屋が続く。構わずに、床のタイルをはがして掘り繰り返した部屋や、天井を取っ払ってしまった部屋などを突き切ると、何とその奥で営業しているではないか。
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