第8日  19日(日)  ユニコGC


 午前6時57分、ホテルの玄関にタクシーが着いた。運ちゃんが降りてきて、章くんのキャディバッグを積んでくれる。
 「おはようございます。お世話になります」。乗り込みながら挨拶する章くんに、「今日のコースは河川敷みたいなもので、お誘いしながら申し訳ないのですが、フェアウエイは固くてハゲハゲ、グリーンはゴトゴトですから、期待しないで下さい」と吉川さん。「いやぁ、河川敷でも何でも、僕はゴルフができれば幸せなんです」と章くんは、本音で答える。ユニコGC クラブハウス
 日曜日の早朝だから渋滞もなく、運転手さんは高速道路をぶっ飛ばす。「40分ほどかかります」と言う吉川さんの説明が終わらないうちに、20分でゴルフ場に着いた。後日、ゴルフ場ガイドを見ると「バンコク市内から一番近いゴルフコース」と書いてあった。
 章くん「帰りは僕が先に降ろしてもらうことになりますから、往きのタクシー代は払わしていただきます」と300Bt少々の料金と高速代60Bt、チップ共で400Btを運転手さんに渡した。
 車からキャディバッグを下ろすと、キャディさんが寄ってきて受け取ってくれる。そのあとは受付へ行って、フレーフィなどに乗用カート代(600Bt)を加えて2400Btを支払い、貰った受取証を横で机を置いて座っている係りの兄ちゃんに渡すと、手続き終了だ。
ユニコGCのロッカー
  ↑ 簡単なロッカー室

 ロッカーの受付でサインして、キーを貰う。戸棚が並び、化粧台と、カーテンが引かれたシャワー室が並ぶだけの簡単なロッカー。戸棚へ、着替えが入ったバッグを放り込んで、何か飲もうとテラスへ向かった。
ユニコGCのオープンテラス
 ↑ユニコGCのオープンテラス。
 吉川さんのおかゆの容器が見える

 吉川さんが、朝食の「おかゆ」を頼んだ。タイへ行ったら一度は食べてみろといわれてきた「おかゆ」である。
 章くんも食指を動かされたが、朝食はホテルでたらふく詰め込んできている。コーヒーを頼んで飲んでいたら、今日の同伴者の大山さんが現れた。
 大山さんは、年のころは45才になろうかというところか。インドネシア大学を卒業して、東京で就職をしたものの、すぐに海外勤務を志望して、ベトナム、タイなどを転戦している国際派…。もうじき、インドネシアで自分の会社を立ち上げるのだと張り切っている。タイへ来て2年…。その日々を物語るように、顔も手足も真っ黒だ。

ユニコのおじさんキャディ
 8時30分、イン・スタートで10番へ向かう。と、乗用カートを運転してきたキャディさんを見て、章くん、不吉な予感…、おじさんだ。吉川さんも大山さんも、徒歩で手引きカートである。ということは、このおじさんは、章くんのキャディか。
 なんという悲劇。タイまで来て、おっさんのキャディとは、何の仏罰だ。1人で2人ものギャル・キャディをつけて、悠悠とプレーしている客も居るというのに…。エメラルド・ブッダへのお布施を、小銭ばかりでケチったのがいけなかったのだろうか。
 我が身の不幸を呪いながら、10番308Yパー4、吉川さんも大山さんも、右に見えているクリークを警戒してか、アイアンで打った。3番目に打つ章くんも4番アイアンを持って一閃…。右を嫌ったボール午前中のキャディさんたちは、グィッとフックして左へ飛んだ。
 行ってみると、左にもクリークがあるじゃないか。ボールは見つからず、おじさんはボールが落ちたとおぼしき地点を指差して、ここから打てという。「How many yard ?」と聞いても反応がない。章くん、数少ない、知っているタイ語のひとつを切って「タオライ(どれだけという意味のタイ語)?」と聞くと、「ナンタラカンタラ〜」と答えてくれるのだが、さっぱり解らない。おじさん、タイ語オンリーなのだ。
 外国人の客が大半のタイのゴルフ場なのだから、キャディは自然に英語ぐらいは身につけるかと思うのだが、このおじさんはタイ語オンリーである。こうなっては、見た目の距離で打っていくしかない。120Yぐらいかとピッチングウエッジで打ったところ、大オーバー。奥の林から出ず、乗らず、寄らずの6オンで、このホールは2パットの8。
 このあとのホールも、ショートして池やバンカーに捕まったり、オーバーしてラフだったりして、距離が合わない。各ホールの間には必ずクリークがある
 また、バンコクはもともとチャオプラヤ川河口の湿地帯だから、ゴルフコースを作るときには水を逃がす池をたくさん作るのが必須条件なのだが、このコースは、全ホールの左右にクリークが設けられている。左だけは池でダメ…とか、右へ逃げておけば…とかいう甘いことは許されず、左も右もとにかく曲がれば林の中=クリークなのである。レイアウトについても、おじさん、最初にタイ語で説明してくれたのだろうけれど、章くんには理解できない。              【拡大】
 章くん、この遠征に9〜10ラウンドを予定して、ボールをバッグに残っていた2個に1ダースを買い足して、14個持ってきた。今日までの5ラウンドでは2個を無くしただけだったのだが、このラウンドで6個を池に入れた。残りが6個、ちょっと心細い。
コースの途中に居た ボールを売る女の子
 途中で、ボールを売っている女の子がいた。自転車で来ているということは、この子は自前で営業しているのだろうか。
【拡大】 プレーの途中で、コースの中の池に入ってボールを拾っている男の人を見た。この子のお父さんかな。ボールが残り少なくなってきた章くん、う〜ん買っとこうかなとも思ったのだけれど、タイのことだから、3年ぐらい池の底に眠っていたのも混じっているとまずいしなぁと思って踏みとどまった。
 距離も、コースレイアウトも、いい加減なゴルフをしてしまった章くん、インを54。後半のアウトはちょっと慣れたけれど47で、トータル「101」。

隣ホール
 ワンラウンドが終わったところで、お二人、「お昼ご飯を食べて、ちょっと休憩してから、もうワンラウンド行きましょう」とのこと。吉川さん102、大山さん103だから、ちょうど頃合いの3人というわけだ。
 あとワンラウンドいくならば、章くん、キャディを替えてほしい。せめてカタコト英語の喋れるキャディ…、美人で若い女の子ならばなお良い。       【拡大】
 「どうすりゃいいかな」と相談すると、吉川さん、「ワンラウンドのチップを渡してしまえ」というご教示。大山さんは「お前はチェンジだ」とはっきり言えというのだが、章くんはそんな残酷なことは苦手だ。とりあえずおじさんに200Btを渡し、「サンキュー」と挨拶しておいた。
1番ティグラウンド横の茶店
【拡大】 オープンテラス・レストランで、「ブタの頬肉」を食べた。ピールのつまみに美味いと吉川さんが注文したのを摘んだのだが、ピリ辛のタレをつけて食べると、コリコリとした食感があって、結構いける。章くん、それに焼きそばと、吉川さんのオムレツを半分貰い、みんな美味しくて、ペロリと平らげたコーラと頼むと注ぎにきてくれる
 食事をしながら、1時間半ほど休憩。ウエイトレスの女の子たちが、ビールやコーラを注ぎに来てくれる。
 タイのレストランはみんなそうかというと、注ぎに来てくれないところも多い。吉川さんに言わせると、「彼女たちは、気に入った客にだけ注ぎにくる」のだとか。このオープンテラス・レストランには、吉川さんのお気に入りのウエイトレスが居る。( ばらしちゃえ → )
T番スタートの茶店に居たネコ 



← 1番スタートの茶店に居たネコ 
    仏教の教えで保護されているからか、町にもゴルフ場にも
    猫や犬がたくさん居た。 人が近づいても、全然 逃げた
    りしない。手厚く待遇されているということか。



 「じゃあ、行きましょうか」と腰を上げて、また受付へ行き、「モア ワンラウンド、プリーズ」と言うと、追加のラウンドフィが750Bt。カート代は変わらずの600Bt。吉川さん、大山さんも、午後のラウンドはカートを借りた。代金の支払い済み証を係りの兄ちゃんに渡して、スタート準備を頼む。
 スタートの茶店でしばらく待っていると、章くんたちのバッグを積んだカートがやってきた。『また、あのおじさんだったらどうしよう』と章くんは、恐る恐る運転しているキャディを見る。ラッキー、女の子…。念のため「英語、喋れる?」と英語で聞くと、「ア リトル」午後のキャディさんと英語が返ってきた。


← 一番左が 章くんのキャディのナーちゃん
   「何という名前?」ときいたら、『NA』と
   書いたから、「ナーちゃん」だろう。


「ワンショットプリーズ」とカメラを向けたら、にっこり




   途中の茶店のベッピン。
    「ワンショット プリーズ」とカメラを向けたら、
    にっこりと笑った。             →



 スタートホールは、アウトもインも混んでるからと、章くんたちの3台のカートは4番ホールへと走る。462Yと短いパー5、午前のラウンドで左の池へ打ち込んだホールだ。ホールも残り少ない章くん、丁寧に打って、フェアウエイのセンター。「ケンチャンルゥ〜(タイ語でナイスショットの意)」とナーちゃんの掛け声がかかる。
 吉川さんから、「ニギリますか」と声がかかった。大山さんとはいつもニギってラウンドしているという。「ストロークと、ロングのドラコン、ショートのニヤピンを…。単価は100Btで…」。一打が100Bt=300円ならば社交辞令の範囲だ。大山さん「いいね。全員スクラッチで」と賛成。
 午前のラウンドは101・102・103だから、全員スクラッチは順当なところというべきかも知れないけれど、章くんは、知らないコースをタイ語オンリーのおじさんキャディで101。吉川さん、大山さんは、毎週来るというコース+美人キャディで102と103なのだ。章くん、キャディさんは代わったし、コースは1度回って覚えたから、不安材料は全くない。
 吉川さん、昨日も章くんと一緒に回っていてスコアは知っているし、今日のラウンドに連れてきて、大山さんに紹介した立場もあるから、「ハンディ貰ったほうがいいんじゃない」と言うのだけれど、「負けたら、それは授業料」と、さすがはアジアを股に架けて活躍する国際派…、豪気である。
 美人のキャディに代わったら、章くん絶好調! このロングで、まずドラコンをゲット。3パットがあったりし「撮るよ」と声を掛けてカメラを向けると、ケラケラーッと笑ったたけれど、4〜9番の6ホールで3オーバー。

 
← ボール売りの女の子、午後には友だちが来ていた。
   ショットが治った章くん、ボールを買わなくても
   済んだ。ゴメンね。



 インへ入っても、14番までの5ホールで1ボギー。やってきた15番のパー4は442Yで、ホールハンディ1の難ホールだ。
 章くんのティショットは、ちょっとヒール気味で、フェアウエイ左のラフへ転がった。バッフィを持った章くんに、ナーちゃん、「残りは230Yあるから打て」と言う。『大丈夫かなぁ』と思いながら、章くん、『僕のバッフィは210Yぐらいしか飛ばないから』と一閃…。ボールはきれいな弾道を描きグリーンへドーンと乗っていって、前の客は飛び退いている。
 青ざめるナーちゃん。章くんと一緒にカートに乗って、グリーンへ…。章くん、「ソーリー」と言いつつ、パットを終えてグリーンから降りてきた客を見ると、インド人の3人連れ。「○※〒▲£§…」と、解らない言葉を言いつつ、章くんにはニヤリと笑って手を振っていった。
 ナーちゃんに対しては、みんな厳しい。インド人についている3人のキャディは、それぞれがナーちゃんに「ナンタラカンタラ〜(タイ語で、気ぃつけやなあかんやろ。死ぬとこやったわ)」と言葉をかけていく。インド人の一人が、ナーちゃんに何か言って、ナ「打ち込んじゃって」と話し合うキャディさんたちーちゃんも神妙に答えている。少しタイ語を解する大山さんの通訳では、「客には責任はないが、キャディの名前は何というのだと聞いてきた」とのことだ。ナーちゃん、しょげ返って元気がない。


 「あんなとこでバカ当たりするもんやから、打ち込んでしもた
  わ。いつものミスショット せんかい」と善後策を協議する
  章くんの組のキャディさんたち            →



 元気のないナーちゃんを気遣ってか、16・17番と章くんボギー。18番、ティグラウンドへ上り、前の組が2打地点で待っていたけれど、「打つよー」とアドレスしたら、ナーちゃん、前へ立ちはだかって「ノー、ノー」。みんなでアッハッハーと笑って、ナーちゃん少し元気になった。
 このホール、パーでインは39。午前中、おじさんキャディで54、美人ならば39…、章くん、自分の性癖がちょっと不安だ。


 章くんたち、このラウンドは4番からスタートしているから、あと、アウトの1〜3番が残っている。4〜9番で3オーバーだったから、70台も夢じゃない。
 1番445Yパー4、70台へ向かう章くんのティショットは右へ出て、行ってみるとクリークが切れ込んできていて、ボールは見当たらない。「向こう岸へ越えていないかな」と手振りで示すと、ナーちゃんは「ドッボーン」、水しぶきが上がったとキッパリ。1ペナで横切ったとおぼしき地点から打った3打目も乗らず、4オン2パットのダボだ。
 結局、1〜9番は5オーバーの41で、午後のラウンドのトータルは「80」。ナーちゃんには300Btのチップに、前の組へ打ち込んだ心労代100Btを加えて、400Btを渡しておいた。


 吉川さん、大山さんは、93と96。ドラコン・ニヤピンは章くんが、7ホールゲット。初対面の皆さんから、総取りでは騙し討ちである。「お近づきのしるしにストローク分はチャラ。ドラコンとニヤピン分をホールアウト後の宴会に充てていただくということでお願いします」と飲んで食ったけれど、まだ何百Btかが残った。
 支払い分のお釣りの小銭は、吉川さんからということで、お気に入りのウエイトレスの女の子に渡してきた。


 自分の車で来ている大山さんとはここで別れ、タクシーを呼んでもらって吉川さんと乗り込み、ホテルへと向かう。
 「吉川さん、今夜何もなければ、タイ料理の美味しいレストランなど、ご案内いただけませんか」と、章くん、例によって厚かましさを発揮し、初対面の吉川さんに無理を言う。「私は何〜ンにも予定がありませんから、是非行きましょう」と気軽にOKをいただき、今夜の予定が決まった。
 高速を降りてきたところで、運ちゃんの様子がおかしい。ガソリンスタンドへ寄ったりして、「ナントカ〜」と言っている。道を知らないのかな。「郊外のタクシーの運転手には、バンコク市内の地理を知らないというのが、よくいるんですよ。済みませんねぇ、妙なタクシーに乗せちゃって」と吉川さん、自分が悪いように恐縮してくれる。
 「吉川さんが悪いわけじゃないですよ」と言いつつ、バンコク市内なんてさっぱり解らない章くん、またまたガソリンスタンドに入っていく運ちゃんに、『田舎のタクシーに、バンコク市内みんな知ってろというのも無理な話か』と同情していると、突然、吉川さんが、ガソリンを入れにきていた別のタクシーを見て、「あれに乗り換えましょう」と言う。
 なるほど、その手があったかと荷物を載せ替えてレッツゴー。まず、章くんのホテルへ寄って荷物を降ろし、次に吉川さんのアパートメントへ寄ったあと、シーフード・タイ・レストラン「SOMBOON(ソンブーン)」へと向かった。

表で客を迎える 蟹たち
 「SOMBOON」は、店の前にズラリと並んだ新鮮な食材を料理してくれ、しかも値段が安いので、地元の客も多数訪れる人気の店だ。欠点は、客が多すぎること…、この日も1階2階と満員で、3階へあがってやっと空席を見つけた。
 早速やってきた店員に、「ビヤ&コーク プリーズ」と言ったら、「僕、日本人です」。外国人客の多いこれらの店では、各国の人を雇って対応できるようにしているのだろう。

トム・ヤン・クン
← トム・ヤン・クン
   辛いはずのスープだが、むしろ一口目はほんのりした
   甘さがある。パッポン・カリー


  パッポンカリー    →
   これを食べるのは3回目、
   段々と美味しくなる。



 他に手長エビの蒸し焼きなどを頼んで、申し分なしの大満足。ビール、コーラなどを入れて、1060Bt。ゴルフのニギリで貰ったお金がまだまだ残っている章くんは、「僕にお任せ下さい」とおイキだ。
 

 食後、歩いて、ハッポン・タニヤハッポン通りの屋台の繁華街へと向かう。徒歩10分ほどの距離だ。

 午後8時30分のハッポン通りは、屋台店がびっしりと並び、世界各国からの観光客で賑わっている。この通り、昼間は何もない、車が走っている通りだというが、日が落ちるとどこからともなく沸いたように店が集まる。
 洋服、バッグ、時計、貴金属、玩具、靴、…、あらゆるブランド品が揃っていて、店の人も「ハロー、ニーハオ、サワディ、いハッポン通りの屋台らっしゃい社長」とさまざまな言葉を使い分けて、声を掛ける。


 通りの両側に並ぶ店は飲み屋街で、ゴーゴークラブでは、中央のお立ち台の上で細いプラとパンティを身に纏った女の子が、繰り返される音楽に合わせて踊っている。
 「どうですか。見るだけ」と客引きの兄ちゃんねぇちゃんが声を掛けてくる。表から見えている店は問題ないけれど、階段を上がっていく2階の店は危ない…ボラレたりするところも多いというのが客を引く女の子、吉川さんの解説だ。
 

← ゴーゴークラブの女の子たちは、お立ち台で踊っている時間のほかは、店内で客の指名を受けたり、表へ出てきて(そのときは服を着ている)、客を勧誘している。
  じっと構えたり、フラッシュをたいて写真を撮るわけにもいかないので、この程度の写真でガマンして下さい。





 「入ってみますか」と吉川さんの言葉に促されて、ゴーゴークラブの一軒に入った。狭い店内は女の子であふれている。席に座ると、台の上で踊るビキニの肢体が目の前でくねり、ほとんど裸の女の子がサービスに来てくれる。
 台の上で踊っている女の子や店内にいる子の中で、気に入った子がいれば、指名すると席に来てくれる。彼女にコーラの一杯でも奢れば、3〜5分間ほど席に居てくれる。ずっと居て欲しいと思えば、500Btを支払えばよい。
 店内はやかましくて、30分ほど居るのが限界だ。「隣へ行きましょう」という吉川さんに誘われて、隣の店へ入る。限界といったはしから、隣っ…てどうだ。
 隣も同じく、ビキニの美女がお立ち台で踊っている。その見事な腰のくびれに見とれている章くんに、吉川さんは、「この店は、さっきの店と決定的に異なる秘密があるのですが、解りますか」とささやく。「みんなバージンとかってことはないよね。全員、独身?」と浮かれている章くんに、とどめの一発…。「実はね、この店の美女たちは、みんな男なのです」。
 「ギョエ〜ッ!」、章くん、その趣味はちょっと苦手なので、「と…隣へ行きましょう」と逃げ出した。
タニヤのクラブの女の子たち【拡大】 二人は、「スナック リリ」「クラブ よしこ」など、日本語の看板がひしめくタニヤ通りへと向かう。表には、それぞれのクラブの女の子たちが出てきていて、通っていく客に声を掛けている。
 とあるクラブのママが寄ってきて、「いかがですか。見るだけでもいいですよ」と声を掛けてきた。
 「ちょっとあがってみますか?」と言う吉川さんの後について、階段を上がる。「基本の料金は…」と説明してくれるママ。「ホントに見るだけだよ」と確認する吉川さん。
 部屋に通されて、お絞りを使っていると、7〜8人の女の子が入ってきた。「いかがですか」とママは、この中から指名する子を選べという。「どうでしょうかね」と考えている吉川さんに、「まぁ、今夜は見るだけということで…」と章くん、席を立った。
 店の雰囲気や、女の子が気に入らなかったというわけではない。今夜は、いろいろなところを見て回ろうという作戦なのだ。
 廊下へ出てから、「ちょっとトイレへ」と寄っている吉川さんを待っていたら、先ほどの女の子たちが通りかかった。顔を見ただけで帰ると言った章くんに、「今日はありがとう。また来て下さい」と愛想よく挨拶してくれた。『明日ァ来るぞ』と、もうその気になっている章くんであった。
 タニヤ通りの奥まった一角に、5階建て、全フロアーがナイトクラブというビルがある。1・2階はいわゆるタイのクラブで、気に入った子がいたら店外デイトに誘うこともできるらしい。3・4階は美人ぞろいのフロアだが、店外へのお誘いはNG。お店で楽しく飲んで遊ぶところ。5階は、女の子は美人…そのうえ店外へのお付き合いもしてくれるという女の子が揃っている。お値段は、1〜4階よりもちょっと高い。
 章くんと吉川さんの最強コンビは、このビルの1階から5階までを「今日は見るだけ」と言いながら、お絞りだけを使ってじっくりと観察してきた。
 1・2階はキュートで可愛い子が揃っている。3・4階は、英語や日本語の得意な子が多く、楽しく遊ばせてくれる。特に5階の女の子たちの美しさには、心が動かされた。『明日ァ来るぞ』と、ここでも決意を固める章くんであった。

終電近くのBTSはガラガラ。 酔っ払いは居ないよー
 今日で6日間連続のゴルフ、しかも今日は2ラウンド…。この先の探検は、また明日以降ということにして、章くん、吉川さんにお礼を言い、最終間際のBTSに揺られてホテルへ戻った。
 終電近くのBTSはガラガラ、酔っ払いは居ない。タイの人たちは、品行方正なのだろうか。
 章くん、明日はゴルフを休憩するつもりである。


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