第6日 17日(金) レイクウッドGC


 今朝は5時に起きた。出発が5時50分だからだ。どうしてこんなに早いのか…。
 実は昨日、金・土曜日のゴルフ場の予約をホテルから電話してもらったのだが、2〜3箇所あたってもらっても、「土曜日は、空いてましぇ〜ん」という返事だ。ちょっと郊外に足を伸ばせばよいのかも知れないが、不慣れな外国だから、臨機応変の対応は難しい。
 「どうするかなぁ」と考えた結果、タイのゴルフの斡旋業者に電話してみることにした。ホテルのパソコンを借りて、インターネットの日本語サイトで『梨花ゴルフサービス』という会社を見つけて電話したら、「ハロー」と英語のおばさんが出た。『ありゃ、せっかく日本のサイトで探したのに、英語かい』と思って、「キャンニュー スピーク ジャパニ〜ズ?」とやってみたら、「日本の方ですか」と日本語が返ってきた。
 章くん、日本語は得意だ。「土曜日のゴルフをお願いできますか?」と尋ねると、「どうぞ、結構ですよ。何名ですか?」と聞かれ、「1名です」と答えると、即座に「OKです」と引き受けてくれた。
 「土曜日、『アルパイン』に行きたいのですが」とさらに言うと、「土曜日は、パインハーストですね」との答。そうか、この会社は各日でいろいろなゴルフ場のスタート枠を取っていて、そこへ客をはめ込んでいくのだな…と気づいた章くん、自分の希望を押し通すのはやめ、「パインハーストの土曜日で料金はいくら?」と聞くと、「3600Btです」と言う。「送迎も含めて?」、「モチロン」。
 「あれっ、安いじゃないか」。章くんが前回のタイ訪問の際に買った、『Thailand Golf Course Guide』という本によると、パインハーストの土曜料金(ビジター)は2530Bt。往復のタクシー代を加えれば3200〜3300Btほどは必要だ。送迎してもらって3600Btだったら、業者としてはずいぶんと良心的な料金というべきだろう。
 「明日の金曜日も、お願いできるかなぁ…」と頼んだところ、「OK、明日はレイクウッドです。朝5時50分にホテルへ迎えに行きます」。だから今朝は5時に起きた。
 
午前6時はまだ真っ暗
 5時45分…、まだ、真っ暗である。フロントへ降りて、迎えを待つ。50分…55分…、来ない。6時になった。表にいるかと玄関前に出てみるも、誰もいない。
 6時5分、ヘッドライトの光が見えて、1台のワンボックスカーが入ってきた。運転手は『AKIRA IIDA様』と書いたボードを、運転席の窓からかざしている。タイだから、10分や15分の遅れで来たのは良いほうとしなければならないか。運ちゃんは「ホテルが判らなかった」とか言い訳していた。章くんところは、三流ホテルだからねぇ…。
 これだけ早い時間を指定して来たのには、理由がある。このあと、いろいろなホテルを回って、今日、梨花ゴルフに申し込んでいる客を拾い集めていくのだ。
 次のホテルへ着いたのは、6時25分。玄関にも、ロビーにも、人影はない。運転手の兄ちゃんに「このホテルは、何時の約束だ」と聞くと、「6時35分だ」と言う。
 章くんのホテルから20分ぐらいで着くホテルへの迎えが6時35バンコクの朝は早い。早朝からすごい人出だ分ならば、章くんところは6時10分で十分じゃないか。朝は機嫌の悪い章くんが、そう文句を言うと、「ユーのホテルを、うちのボスが知らなかったものだから、早い時間を言った」という返事。三流ホテルに泊った報いというものか。
 そうこう言っているうちに、6時35分になった。人影は見えない。「何ンてえ名前の客だ」と聞くと、『KATO』と書いたボードを見せて、「これは日本人か」と聞く。『KATO』なんてフランス人はいないだろう、「加藤と読むんだ。フロントへ行って『かとう』さんと言って呼んでもらって来い」というと、兄ちゃん、「カトウ、カトウ」とつぶやきながら降りていった。
 45分、4人連れのおじさんを伴って出てきた。先頭は、黒の半そでシャツに黒のズボン、坊主頭にあごひげの、どこから見てもヤクザのおっさんだ。そのうしろに、チョビ髭、赤シャツ、ひょうたん顔が、眠そうに続いてくる。章くん、横目で『イレズミは入れていないみたいだな』と観察する。話し振りで、どんな連中か判るだろうと聞き耳を立てていたのだが、4人とも車に乗ると黙りこくっていて、ほどなく寝てしまった。
レイクウッドGC クラブハウス

 ようやく目覚めた町を、兄ちゃんの運転するワンボックスカーが疾走する。7時30分、レイクウッドGCへ着いた。       【拡大】


 今日は、この4人のヤクザと一緒に5人で回るらしい。昨日とは別の意味で、相手にとって不足はない。
 1番346Yパー4。ティのトスで章くんがオナーだ。『なめられてたまるかぁー』と打ったティショットは、フェアウエイど真ん中のナイスショット。1番のティグラウンド
 続いて坊主頭…、バッカーンと右の林。「ありゃ、今日もダメだっぺ」。
チョビ髭…、ゴロで「おっかしいっチャ」。
赤シャツ…、ほとんど空振りのようなチョロ。ひょうたん…、ドーンとダフってテンプラ。
 みんなでケケケケーッと笑って、それぞれのキャディさんとともに10人が5台のカートでスタートである。


 グリーンに上がってくる頃には、黒シャツ「8つオンだっぺ」、赤シャツ「7つオンっちゃ」とやっている。話を聞いていると、全然ヤクザなんかじゃなくて可愛い。


 チョビ髭、「僕、去年、ロータリーの遠征ゴルフでここへ来たんでッす」と言ってた。「ん、どこのロータリーですか?」と聞くと、「札幌のクラブです」と答える彼の横から、「こいつ、ロータリーをクビになったンですっちゃ」と赤シャツが笑う。「いゃぁ、自分からやめたんですよ」と言って、チョビ髭、頭を掻いた。
キャディのワオーちゃん

 ← 章くんのキャディのWAOWちゃん。
  何と読むのか… 「ワオーちゃん」かな。

混んでいるホールでは、マッサージつき


  前が詰まったり、
  ダボを叩くと、
  マッサージをしてくれる →






 この4人、とんでもなく面白い。スコアなんか無頓着で叩きまくるし、言葉も通じないのに、キャディさんを口説きまくる。あまり面白いので、笑いすぎて、章くんのキャディのウォーちゃんなんか、カートをぶつけて凹ましてしまった。

すれ違った組はキャディさんを2人ずつつけていた。

  横をすれ違ったパーティ。
  3人の客に
  それぞれ2人ずつの
  キャディをつけているので
  合計9人のパーティだ →


 

にぎやかなキャディさんたち


← レイクウッドのキャディさんたち【拡大】


 一番右がウォーちゃん。章くんのパットのラインを一生懸命に読んで教えてくれるのだが、ほとんど合っていない。
 「サーイ(右へ曲がる)」とか言って、章くんがその通り打ち、ストレートに抜けていくと、「ゴメンナサイ」と謝る。
 章くんは、はなから信用していないから、もちろん怒ることもないが、彼女の読んだ通り打たないと、彼女のプライドにかかわるだろうと思って、言うように打ち、そして外す。



 アウト、ボギー・パー・ボギー・パー・バーと来キャディ溜まりの風景ていたのだが、6番あたりから笑ってしまって、ダボが続いてしまい、「45」。インは、初めから笑ってしまって「50」。せっかく一生懸命にラインを読んでくれたウォーちゃんに、申し訳ないスコアであった。彼女も笑いなかがら「ゴメンナサイ」を連発していたから、まあいいか。
 4人のスコアは判らない。それでも4人はニギリ合って火花を散らしていたらしく、「今日は俺のものだっぺ」とか、「今夜はワシのおごりだっちゃ」とか言い合っていた。。
 シャワーに入ってから、2階のレストランで食事をしようということになった。梨花ゴルフの兄ちゃんは、もう迎えに来ているとのことであるが、「待ってもらえばいいっちゃ」。
 「昨夜食べた、蟹と卵の料理が美味かった」とチョビ髭が言い出した。ウエイトレスの女の子を呼び、「蟹と卵の料理。蟹を割って、卵を溶いたものをからめて、カレー味に仕上げたもの」とか言って注文している。もちろん、このレストランのメニューリストを見ているわけではない。とにかく、こういう料理だから、これを作ってくれ…と注文しているわけだ。
 ウエイトレスの女の子一人では対応できなくなって、責任者らしいスーツを着た女の人も出て来た。4人は口々に、「蟹と卵…。卵に蟹を入れて、カレーで味付けした料理」とか言っている。そういうタイ料理だっぺ…と言えば、定番で判るはずだと思っているようだ。「ホントにタイのやつらは、何回も言わないと判んねぇのだから」「まぁ、最低4回は言わないとダメだっぺ」「5回ぐらい念を押したから、間違いないべ」とか言っている。
 出て来たものを見て、のけぞった。蟹肉入りの玉子焼きが出て来た。憮然として、その玉子焼きをつつく4人…。「どうぞ、食べて下さい」と章くんにも勧める。
 そこへ、梨花ゴルフの担当員のジェーンちゃんがやって来た。彼女は日本語がペラペラだ。「ジェーン、昨夜の蟹と卵の…」、「ああ、パッポンカリーね」と言って、主任の女の人に説明して注文していた。
 出てきた料理は、甘辛く煮上げた卵を蟹肉に絡ませ、カレーの辛味をピリッと利かせた、なかなかの逸品だ。「こうやって食べるんですよ」と教えてくれた通り、白飯にかけてまぶして食べると、米の味に絡んでいっそう味が引き立つ。「美味しいですね」と章くんが言うと、「これ、知らんですか? 今夜、美味しいタイ料理をご紹介しますし、そのあとも一緒にどうですか」とチョビ髭が誘ってくれる。
 坊主頭が、「オーイ、水」とグラスを上げる。ウエイトレスの女の子は気づかない。「取ってくる」と坊主頭が席を立っていった。ひょうたん顔が「おっさん、食事の時には凶暴になるっちゃ」とあきれている。


 帰りのワンボックスカーの中でも、4人のレクチャーは面白かった。「タイへ来たら、タイの遊びをしなくちゃ」、「とりあえずはソープランドがいいでしょう」、「5階建てのビル全部がソープランドなんですっちゃ」、「上の階へ行くほど、料金が高いっぺ」と、それぞれが章くんに説明してくれる。
 チョビ髭が、「これ、昨日もらってきたのをあげますから、よく読んでおいてください。今夜、一緒に行きましょう」と、ソープランドのチラシをくれた。この男、『ロータリーは自分でやめてきた』と言っていたけれど、やっぱりクビになったんだろう。
 「ホテル、どこにあるんです」と聞くので、「BTS終点駅のタクシンの近くです」と答えると、「そりゃダメ、遠い。繁華街の近くでなきゃ。僕らのホテルに替わったらいいですよ」といよいよ仲間入り目前になった。
 章くん、札幌愚連隊への入隊を覚悟して、「明日もこの梨花ゴルフのツアーに参加するのですか」と聞くと、「いえ、明日の飛行機で帰ります」。ええっ、ホテル替わっても、今夜だけかい。それに、章くん、明日はゴルフが申し込んである。
 しかし、彼らにそう言っても、「ゴルフも、これも やらなきゃ。ここはタイだっぺ」と答えるのは判っている。「チラシ読んで、決意したら電話入れますわ」と、章くん、やんわりとお断り。チョビ髭、「お薬も用意してお待ちしています」。


 4人のホテルは、バンコクの繁華街タニヤのど真ん中。今度タイへ行くときのために、章くん、ホテルの名前を控えてきた。
 4人を降ろして、章くんのホテルへまわる。4人と話をしていた章くんをスキモノと見抜いたのか、送迎の運転手の兄ちゃんも、「ガール どうだ」と言ってきた。先日のトクトクの運ちゃんも、「ガール、ガール」と言っていた。バンコクの男は、全員ポン引きだぁー!


 夕刻、「飯悦飯店」へ夕食に出かけた。メニューを見ていると、「パッポンカリー」があるじゃないか。野菜料理と白飯を一緒に頼んで、平らげてきた。自画像 その2
 マッサージに夜の街の散歩もつつがなく終えて、無事ホテルに戻った。


         何事もなく 今夜も あとは寝るだけ。パチリ →
         (このあたり写真がないので自画像でもどうぞ)


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