第10日  21日(火) その2  ゴールデン・ブッダ  


 まだバンコクの地図が理解できていタイのバスはカラフルだない。タイ語表記の通りの名前が読めないのである。ちょっと疲れた表情の章くんのところへ、トクトクの運ちゃんが寄ってきた。
 「ワット・トライミットまで行きたいんだ」と言うと、「50Bt」と言ってきた。歩いて25分ほどの距離だ。「20Btだろう」と章くんは言う。「40…30…」と交渉し、30Btで話が着いた。



← バンコクのバスは極彩色



黄金仏のおわします ワット・トライミット
 バタバタバターッと5分、目指す「ワット・トライミット」へ到着。        【拡大】
 この寺のご本尊は、かの高名な黄金仏(ゴールデン・ブッダ)だ。スコータイ王朝時代、田舎の末寺に祭られていたこの仏は、ビルマ軍の侵攻が頻繁となるにしたがって、略奪を防ぐために全身を黒い漆喰で固めたという。混乱の中で、いつしか人々の記憶から忘れ去られて数百年を経た1953年、この寺に移転されるとき、あまりの重さに使ったクレーンの操作ミスで漆喰の一部が剥げ、黄金の姿が現れたのである。高さ3m、重さ5.5t、時価120億円とも言われている。黄金仏(ゴールデン・ブッダ)


【拡大】 純度60%の黄金仏。
   重すぎて、担いで逃げるというわけには
   いかない。



 お堂の中に、さまざまな大きさの黄金仏のミニチュアを売っていた。値段は、30cmぐらいのもので35000という値段票がついている。Btだろうから、日本円で10万5千円か。お参りに来ていた母娘が買っていった。

中タイ友好60周年記念モニュメント
 外へ出ると、大きなドラゴンのモニュメントに出くわした。タイ中友好60年を祝って造られたものだとある。            【拡大】
 近くに巨大な中華門も建っていた。先年、江沢民中共前主席が訪タイしたのを記念して建てられたものだそうだ。中共にしても、外国勢はメッセージのアピールが上手だ。
 日本の対タイ投資額は、世界一である。でも、日本のモニュメントは、「バンコク地下鉄の建設協力感謝証」という30cm平方ぐらいのタイルが、地下鉄駅の壁にはめ込まれていたぐらいで、目を引くような建造物は何も見かけなかった。


 寺の前にいたら、トクトクが近づいてきた。「BTSタクシンまで、40Bt」と話がまとまり乗り込んだところ、すぐ近くの地下鉄ファラボーン駅に着けた。バンコクの地下鉄は一昨年に完成していて、「ファラボーン駅」は始発駅だ。
 運ちゃんは、言葉が上手く通じなくて、章くんはここから地下鉄→BTSと乗り継いでタクシンへ帰る積もりだと理解したのかもしれないが、それだったら近すぎて40Btとはとんでもない料金だ。
 「BTSタクシン駅と言ったじゃないか、どこへ着けてンだ」と怒ったら、指で地下鉄駅を指差し、手のひらを下から上へ振って「£§A○¢▼a*…」と言っている。「地下鉄から乗り継いでいくんじゃないのか」と言っているのだろう。
 「40Btも払えるかい。こんな近くの積もりなら、初めから20Btと言え、コノヤロウ」と日本語だから物騒なことを言っても、相手には解らず、ケンカにはならない。でも、『こいつ、怒っているな』というニュアンスは伝わったのだろう。運ちゃんは、章くんが差し出した20Bt札を受け取って、バタバターッと行ってしまった。
 思いがけずに地下鉄に乗る羽目になってしまった章くんだが、実はバンコクに地下鉄があることすら知らなかった。あとで調べてみると、交通渋滞の激しいバンコクでは20年ほど前から地下鉄の建設が計画されてきたけれども、資金難で着工が延び延びとなり、日本などの協力によって7年ほど前にやっと建設が始まり、2004年に完成したとある。暑い国だから、冷房完備で渋滞なしの地下鉄は、BTSとともに多くの市民に大人気である。
ポッカリと口をあけているというカンジの地下鉄入口

← ポッカリと口をあけているというカンジの地下鉄入口。
  
地下鉄の改札口


     改札口 →






 駅の警備員に「BTSにチェンジはどこの駅?」と聞いて「サラデーン」と教えてもらい、自動販売機の操作は解らないので、窓口で「サラデーン」と言って、切符を買った。
 プラットホームはガラス戸で囲まれていて、部屋の中にいるみたい。


← バンコクの地下鉄は最新式。
   プラットホームはガラス戸で囲まれていて、
  部屋の中にいるみたい。線路へ飛び降りようと
  思っても降りられないよ。





 車内アナウンスに聞き耳を立てていたのだが、なかなか「サラデーン」と言わない。
 30分ほど乗っていて、始発から乗ったのにもうすぐ終点だ。『引き返してくればいいや』と覚悟を決めて、地下鉄遊覧…。終点まで行くと外へ出なきゃならないかもしれないと、根拠のない心配をした章くん、終点近くの駅で降り、反対方向の列車に乗り込んだ
 車内の路線図を見ると、「サラデーン」という駅はない。BTS「サラデーン」の地下鉄最寄駅は「シーロム駅」という。章くん、シーロムまで戻るとまだかなり行かねばならないので、ちょっと気を利かして、4駅手前、BTS「アソーク駅」へ乗り換えることができる「スクンビット駅」で降りた。しかし考えてみれば、章くんが切符を買ったファラボーン
駅からは遠くである。乗り越し料金8Btを取られた。BTSに乗り換えて


 地上へ上がり、BTSに乗り換える。BTSは、章くん、カードを持っているほどの達人だ。「アソーク駅」から4〜5分、大ショッピングセンターの立ち並ぶ「サーヤム駅」で降りた。
 人であふれている サーヤム・ショッピングセンター







【拡大】 サーヤム・ショッピングセンター



日本食堂のウイントゥ 寿司280Bt.
舟盛り290Bt.
  





   センター内の日本食レストランのウインドー →
     
寿司 1人前 280Bt.
     刺身の舟盛り 290Bt.
    味のほどは、章くん、入ってみなかったから
    分からない。
          【拡大】



 ↓ バンコクの渋滞風景 【拡大】
迫力ある バンコクの渋滞
















タイでも おばさんは最強




    バンコクのおばさん     【拡大】
     渋滞中の交差点のまん中に車を止めて
     お巡りさんに道を聞いていた。
     どこの国でも、おばさんには勝てない




 「バンコクそごう」前に、ヒンズー教の神様が祭られていた。その3で靴を脱いで参拝する学生たちの姿を紹介したのは、この祠に参拝する人たちの姿である。霊験あらたかな神様とのことで、熱心な参拝者が引きもきらない。


← 神様に感謝のために捧げるのだという 奉納の踊り。
   指先を反らせ、体をくねらせて踊る様は、
   タイの古典ダンスそのものである。 【拡大】





  通りをゾウの子どもが歩いていた。
  さすがは、タイだ。          【拡大】


























 章くん、このサイアムスクエアに来たのは訳がある。タイ・シルクの有名店「ジム・トンプソン」で、ゾウがプリントされた手提げカバンを買ってきてくれと、友人(ヤスヱ)に頼まれているので、それを探しに来たのである。
 「ジム・トンプソンの家」は「地球の歩き方」で調べて、BTS「サーヤムスクエア」から歩いて数分…。
 ところが章くん、ここでも反対方向を向いて歩いてしまった。地図がおかしい…。まぁ、おかげで「そごう」前のヒンズー教寺院の礼拝風景や小象くんに出会うことができたのだけれど…。
 反対に来ていると気づいた章くん、気を取り直して、また「ジム・トンプソンの家」を目指して歩き始めた。辺りはすでに暗くなり始めている。
 途中のパヤタイ大通りは向こうへ渡る横断歩道がない。そのまま道に沿って北へ歩いていけば運河を走る水上バスを待つ人たち、せーン・セーブ運河へぶつかる。目指す「ジム・トンプソンの家」も運河沿いだ。
 運河にかかる橋の下が通路になっていたので、道路の向こう側へ渡ろうとくぐっていくと、人通りのない橋下に人がうごめいている気配…。物騒なところだなぁと思いながら向こう側へ出ると、なんと、この橋の下は運河を走る水上バスの船着場だ。勤め帰りのOLや制服姿の女子学生が船を待っている。
【拡大】 こんな暗い、人気のないところに、女の子を立たせておいていいのだろうか…と思いながら、次の角を曲がると、食べ物を並べている5〜6軒の屋台があった。一帯は「ソイ・カセームT」と呼ばれて、1泊400〜600Btぐらいの安宿が並ぶところだ。
 くねくねと曲がる道を「地球の歩き方」を見ながら「ジム・トンプソンの家」を探す。あったぁ〜。でも、閉まっている!
 『16:30まで』と書いてある。「タイ・シルクの店なのに、午後4時30分で終わるとは、なんて店だ」と思って、章くん、はっと気づいた。ここは「ジム・トンプソンの家」であって、「ジム・トンプソンの店」じゃないんだ。
 「地球の歩き方」では、この家を1ページを費やして紹介し、「タイ・シルク・ショップがオープンして…」とも書いていて、「ジム・トンプソンの店」の紹介はどこにもない。ただ、よ〜く探すと「シーロム通り周辺」の地図の中に、小さな字で「ジム・トンプソン・タイ・シルク商会」と書かれているが、これでは店はここにあることを知っているものしか探し出すことはできないだろう。


 捜し歩いてン時間、間違っていた章くん、「やめた、やめた。バッグなんて、荷物になるから買って帰るなということだ。預かってきた5万円もキレイに使うぞ」と覚悟を決めた。
 

              ラーマ1世通りに並ぶ屋台 →



 思わぬ収入が転がり込んだ(?)章くん、すっかり豪気になって、夕食にデュシタニ・ホテルの「ベンジャロン」へ出かけた。ここは、タイの王宮料理を食べさせる高級レストランで、タイ料理を語るにはここを抜きにはできないと、ものの本にあった。
 午後8時になろうとしていて、ちょっと混雑が引いていった時刻だ。「一人。予約はしてないよ」と入っていくと、「どうぞ」と左手の席へ案内してくれた。ピンクのテーブルクロスが高級レストランらしい。そういえば、テーブルクロスを見るのは、タイに来て初めてだ。
 メニューは英語の説明が添えられているが、ひとつひとつ吟味するよりも、章くん、コース料理にコーラと水を注文した。水(ドリンキング・ウオーター)は、日本と違って注文しないと出てこない。もちろん有料(一瓶30Bt)だ。
オードブル

← オードブル。
  一番上は彫り物だが、あまりにもよくできていて、
  カボチャの細工物と間違い、食べるところだった。


 2品目はスープ。タイ料理には珍しい薄口のロールキャベツのスープだが、パクジーが利いていて、苦手な人にはちょっとつらいかも…。3品目、ロブスター。ハワイ以来、美味しいロブスターを追い求めてきたのだが、ハワイのマヨネーズ味50点に対して、ここはニンニペナンカレークと胡椒で75点。
 4品目のペナンカリーは、白飯にまぶす食べ方を知っているので、とても美味しく食べることができた。これだけで食べていたら、とても辛いものだったろう。


         ペナンカリー。牛・豚・鶏から選ぶ →


 そして5品目の、ほんのり甘い、イカ・エビと野菜のあんかけうま煮をおかずにして、満足の夕食であった。デザートはゼリー入りのココナッツミルク。そして、コーヒー。
 それにしても、この食器の豪華さはどうだ。聞いてみると、「ペンシャロン焼き」という、以前は王室の限られた人のみが使用できた高級磁器とか。タイ王国に古くから伝わる伝統的な焼き物で、金の部分は12kだとか。コーヒーの味も冴え渡る。



    その11へ  その13へ  世界ゴルフ紀行トップページへ


ハワイ・ゴルフ紀行
ハワイ・ゴルフ紀行
その1         10 11 12 13 14 15